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理事長対談

【トップリーダー対談】ヤマガタデザイン株式会社 代表取締役 山中 大介 ×第54代理事長 佐藤 友介】

理 事 長:本日はお忙しい中、地域のトップリーダーとの対談をする企画にご協力いただきましてありがとうございます。ヤマガタデザイン株式会社様は2014年に設立し、2018年にショウナイホテルスイデンテラスがオープンして2周年になります。その他にも地域の魅力を創出する企業活動についても積極的に取り組んでいます。その点をご説明の程よろしくお願いします。

山中代表:ヤマガタデザインは元々未整備の14ヘクタールあるサイエンスパーク計画を推進するプロジェクトカンパニーでした。現在は、地域資源から事業をデザインし、子どもたちが生きる未来に、自らも希望を持てる社会を実現することをミッションに掲げ、スイデンテラスと児童教育施設「キッズドームソライ」の運営、人材紹介業、農業も本格的に行う街づくり会社に成長しています。サイエンスパークの開発に携わる中で、庄内を引っ張っていく人財を作ろう、更には地域課題を解決していく気持ちが芽生えました。今、日本社会に閉塞感があったり、少子高齢化が進む中で、ワクワクする社会を作りたいという想いで事業に取り組んでいます。それが地域課題の解決に繋がっていると感じています。『ヤマガタデザイン』の『デザイン』は課題を解決するという意味の『デザイン』だとご理解いただければと思います。

理 事 長:ありがとうございます。私もビジネスマンの一人として、御社は多くの業種があってすごいなと思います。最近では、新分野としてソライでんきも始めています。各業種をコントロール(経営)するのは大変ではないのですか。

山中代表:よく多角化経営と言われがちなのですが…。それぞれの事業にシナジーがあるのです。また、どの事業も庄内に特化してやっているからこそ、事業を始める観点からしたらとてもやりやすいですね。例えば農業もいきなり『農業をやりたいです。』と僕みたいに他所から来た者が言っても『なんだコイツは。』ってなりますよね。ですが我々はホテルをやったり、ソライをやったりしているので親近感を抱いていただけました。普通は農業始めるとき、農地の確保だったりJAさんとの関わりなど凄くハードルが高いのですが、僕ら自身はアクション1個ずつがこの地域における認知に繋がったり、既成事実になっていくことで、新しいことをスタートするにも通常の0から1よりも既に2か3くらいになっている。農業においては凄く合理的だと思っています。

理 事 長:そういえば豊田にあるビニールハウスもどんどん増えていますよね。

山中代表:はい、あそこではベビーリーフとミニトマトを生産しています。ショウナイルーツもJAさんと連携させていただいていまして、有機農業の普及に努めています。有機農業は現時点、マーケット的には作ったら作っただけ売れます。また有機農業で品質・収量を安定させられれば、利益率は非常に高い。日本国内でも先進国でも食べ物は当たり前にありますが、健康面や環境面での付加価値を求めて購入する方が増えています。先進国だと全体の約7%がオーガニック市場です。ですがオーガニックって価格が高いし、アメリカもオーガニックは高い。日本のオーガニックマーケットってどのくらいだと思いますか?

理 事 長:12%くらいですかね。

山中代表:マーケットシェアはとても小さく、0.2%なのです。慣行農業とは施肥や管理作業の工数などが異なる有機農業はなかなか普及していないのです。大手企業などが有機農業始めていますが、わずか0.2%。生産側が増加していないことが、最大のボトルネックとなっています。国内だけでも既に潜在的なマーケットは2%あると私は思っていて、農業分野の2%というのは、何千億という潜在需要があることになります。そこを我々としては庄内全体の生産者と一緒に取りに行くというのが有機農業等の新ブランド『ショウナイルーツ』の考え方です。有機農業は個々の農家さんが個別で作っている場合が多く、物流コストが高く商品単価が必要以上に高額になってしまうケースもあります。しかし、物流をまとめて物流費を削減することで、利幅を増やし、ご協力いただいている農家さんに還元できる。有機農業というのが、凄い成長産業と我々は捉えていて、地域の皆さんと協力して地域全体でマーケットを取りに行きたいと思っています。

理 事 長:ビニールハウスの数も増えていることは成果を上げているってことですよね。スーパーなどでも見かけますもんね。

山中代表:地元だとト一屋さん、主婦の店さんや共立社さん、全国的にも大手ネットスーパーや生協、百貨店、その他飲食・宿泊施設等へも販売し、好評をいただいています。やはり有機農業というのは庄内の農業に更なる付加価値を付けるには効果的だと捉えています。

理 事 長:鶴岡市立農業経営者育成学校(SEADS)も有機農業と関係しているのですか。

山中代表:あります。農業就職フェアでのアンケートの結果、来場者の97%が有機農業に興味があり、20%が有機農業への就業希望者というデータがあります。ところが、全国的に有機農業に特化して学べる場所が少ないため、20%の人が行く場所がないのです。

理 事 長:ということは、全国各地から生徒さんたちは来ているのですか。

山中代表:はい。現在の生徒13名のうち山形県内出身者は3名だけで10名は全国から農業未経験の方がいらっしゃっております。

理 事 長:個人的な話ですが、ヤマガタデザインさんの好きなところはブランド力ですが。SEADSもSMAPみたいな感じで「Shonai Ecological Agri Design School」とタネをうまく掛けています。そういうデザインのセンスは山中社長から出てくるのでしょうか?

山中代表:はい、僕はそういう事を考えるのが凄く好きで、デザインやネーミングは事業活動を行う上では非常に大切だと考えています。

理 事 長:私も同感でして、第一印象で見た目から興味を抱く人もいますよね。山中社長みたいなセンスが欲しいです。

山中代表:地方のまちづくりで僕がもったいないと思うのは、地方の自然や農の風景は皆さんが思う以上にとても美しいです。そういうところに例えば変な看板を立ててみたりとか、デザイン性に配慮しない建物を作るのではなく、木目を入れるなど少しの工夫で良いので、調和したものを作る。街づくりにおいてアートやデザインをもっと取り入れながら美しい環境を生かすことがとても大事だし、面白いと思います。

理 事 長:地元育ちの私と良い意味での発想の違いがあります。田園風景だってわたし達は見慣れている。山中社長はそれを価値として引き出すという凄さがありますね。以前、夏の暑い日に山中社長と商談でお会いして、『ついさっきまで社員と昼休みの間を使って海に泳ぎに行ってました』と言われて衝撃を受けました(笑)。この地域に生まれた私よりもはるかに魅力(自然)とビジネスを両立できている姿に感動したとともに、大事なことを教えられたなと記憶しております。

山中代表:そんなことありましたね。最近では私の趣味で、農道だけを走れるランニングコースを見つけ気に入っています。これがとても気持ちよくて、農道の中では、稲の成長を見ることもできるし、月山と鳥海山どちらも見れるので、とても気持ちがいいんです。

理 事 長:現在、SDGsは国際的にも重要視されています。ヤマガタデザインは既にSDGsのゴールすべてに該当するビジネスを展開しているので、『SDGs取り組んでます。』という看板を掲げなくても良いくらいのパイオニア的な会社になっていると思います。農業分野や自然分野、街づくり(観光)分野、教育分野、さらにはエネルギー分野と幅広い。未来の話をしたいのですが、コロナ禍の中でもありますが、何に力を入れていきますか。

山中代表:そう思っていただけるのは嬉しいです。地方で今求められているのは人間性と環境性、経済性のバランスです。都会の人たちは経済性ばかり追求する社会に疲れているのです。それでもっと違う価値観が欲しいから、人間性とか環境性とかのバランスの豊かなところにお金を使うようになりました。だからこそ農業もオーガニックは高くても売れるし、地方都市で何も無いからこそ価値があると言われるようになったと思います。バブルの時代に田んぼの上にホテルを作っても人は来なかったかもしれません。先のCOP25で一番重要だったのは、日本の石炭火力比率の高さを批判されたことではなく、世界中の投資家たちが「これからは環境投資がビジネスになる」と気が付き、何兆円単位のファンドを作ることを宣言したことなのです。我々が今SDGsを全部やっていると思われているかもしれないですが、これからはSDGs的な考え方を取り入れた経営を展開していくことが一番事業性が高いと思います。

理 事 長:ありがとうございます。次に鶴岡青年会議所の活動に関してお話をいただきたいと思います。

山中代表:鶴岡JCさんは、様々な活動をされていらっしゃいますが、一番凄いなと思うことは、赤川花火大会を主催されていることですね。鶴岡JCさんが天神祭りや大山犬祭りなど地域のお祭りを一緒に盛り上げるようなことが出来るのならお手伝いしたいですし、本当に地域のことを想っている団体だなと思います。地域の祭りってすごく大事だと思っていて、例えば庄内のJCさんで連携して庄内の祭りを一つ作ることでもいいかもしれないし、或いは今まであるものを再ブランディングしてもいいと思いますし、0からでよさこいソーランに負けない祭りを作ってもいいのではないかとも思います。その時は我々もぜひ協力させていただきます!

理 事 長:まず祭りをつくっていく事業、いいですね!

※本年、鶴岡JCは12月に小学生を対象に地域のお祭りを学ぶ事業を実施。

鶴岡JCのメンバーは職種も様々であります。山中社長には地域を牽引するトップリーダーとして大事にしている部分を教えてください。

山中代表:基本的には世の中は役割論だと思っています。私は、ヤマガタデザインの社長の役割を担っているというのが、根底にある考え方です。自分の役割や組織を使ってどうやって社会をよくできるかが重要です。当然ながら企業というのは経済活動がついて回るので、お金というものを目的ではなく手段として使うという考え方が突き詰めていくと大事になっていくのです。お金を目的化すると役割論では成り立たないのです。社会全体を見た時、自分自身の役割は何かという事があったうえで、その中でどういうお金を調達して、どういう風に使って、どういう事業を作っていくか、それをどう再投資をするか含めて根本にあるのは、自分たちは社会の中の一要素に過ぎない。逆にいうと一要素としてどういう役割を社会に対して果たしていくべきなのか、という所があるとお金を目的ではなく手段、資本主義という仕組みをどう活用してより良い社会をつくるかという所に考えを持っていけます。「情けは他人の為ならず」という言葉は、情けをかけるのは相手の為にならないのではなく、情けをかける事によって回り回って自分にリターンがあるという事が本当の意味なので、なんかもうそういう時代なんじゃないかなと思います。利他はすなわち利己になると。

理 事 長:まさに表裏一体みたいなことですね。

山中代表:おっしゃるとおりです。少子高齢化で人口が一億を切っていく中、今までのパイを奪い合っていくとそれはしりつぼみになってしまうわけです。利他の精神で結果として分け合うという考え方ですね。奪い合うと足りないけど、分け合うと余るというのは究極的ですがそういう社会に今後なっていくと思っています。

理 事 長:やっぱり地元の人間からすると、ヤマガタデザインさんはやっている事業が大きいので、「ヤマガタデザインさんってすごいことやっているけど近づきにくいね。」と思っている方もいらっしゃると思います。でもこういう話を聞いて、より親近感も沸きました。当然、東京などの都会のお客さんのみにサービスを提供している事業ではないのです。これからは庄内の人たちもヤマガタデザインの事業により協力していく、例えばリラックスする機会としてホテルに泊まってみる、ベビーリーフを買ってみる、などのいろんな形で互いに手を取り合って、せっかくこの地域で一緒になって地域のために頑張っている企業ですからね。そういうのが大事なのかなと感じます。

山中代表:ありがとうございます。これからも、街づくり事業を通して、山形庄内地方を世界一幸せな街にすることに挑戦し続けたいと思います。

理 事 長:本日はありがとうございました。



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