理事長対談

●株式会社荘内銀行と地域経済 ●
理事長 はじめに荘内銀行をご紹介頂けますでしょうか。
頭取 荘内銀行は明治11年の創業から昨年で140周年を迎えました。第六十七国立銀行として鶴岡の地に設立されています。1941年に六十七銀行、鶴岡銀行、風間銀行、出羽銀行が合併し、荘内銀行となりました。そして現在に至るまで鶴岡に本店を置き、山形・仙台・東京・秋田・福島にも拠点を置いて営業活動を行ってきました。10年前に秋田の北都銀行と経営統合し、持株会社であるフィデアホールディングスを設立しました。フィデアグループとして、金融事業の他、リース、ベンチャーキャピタル、シンクタンク、システムソリューション等の事業も合わせて、幅広いサービスを提供しております。金融情報サービスをお届けする事はもちろん、昨今は地方創生のための役割も日々大きくなっています。人口減少や少子高齢化という課題の中で、様々な企業の支援をしながら、我々が地域を元気にするという事も考えています。
理事長 ありがとうございます。銀行の場合は金融情報とか景気状況とか、いち早くキャッチして情報管理や行動を行っていく機関であると思います。庄内地方における地域経済の現状を教えてください。
頭取 現状、地方経済は人口減少や高齢化という社会的課題に直面しています。しかしながら、鶴岡には、元気に活動しているところがたくさんあります。例えば、慶応義塾大学先端生命科学研究所(先端研)から生まれたベンチャー企業等です。そこは、住民と研究機関、企業が上手く融合して地域を発展させていくというような、一つの大きな目玉になっているので、注目されています。
理事長 ほかの地域と比べ、ネガティブなだけではなくてポジティブになっていく見通しもある。
頭取 そうですね。やっぱりこの辺は基本的には農業圏なので一次産業の活性化が大事。それだけではなく、多種多様な製造業もあります。また、この庄内の地というところは、経営者の方に伺うと、働く人の質の良さというか、勤勉で真面目で粘り強いという人柄を非常に評価しているようです。そういった中で地域を元気にしていくというのが我々地方銀行としての一つの大きな役割かなと思っています。


●青年会議所に関して●
理事長 鶴岡青年会議所も地域経済を盛り上げていきたいというのがあって、赤川花火大会を毎年開催しております。経済効果はまだ数的検証はしてはいないのですが、約30万人以上の来場をしていただいておりまして、1日かぎりのフェスティバルですが、大きな経済効果は生まれているのかなと思います。今年は第30回赤川花火記念大会という事で、例年よりは一味も二味も盛り上げていきたいと思っております。そのような鶴岡青年会議所の活動に対してはどのような評価をお持ちでしょうか。
頭取 赤川花火大会すごくいいですよね!
理事長 いつもご協賛等で大変お世話になっております。
頭取 BS朝日の中継も入るようになりましたし、鶴岡をアピールする効果というのは非常に大きいと思います。ちょうど30回ですか?
理事長 30回目なんです。
頭取 毎年継続してきちっとやれて、だんだんと来場者が増えているっていう事ですから素晴らしい企画だと思います。地域を挙げて、そういうイベントに協力するというような下地を作ってくれている、縁の下の力持ち的に尽力されている青年会議所のみなさんはすごいなと思います。
理事長 ありがとうございます。
頭取 よく大曲花火大会や長岡まつり大花火大会と比較されますが、そういうところと遜色ないぐらいの規模になっていると思いますので、是非続けてもらいたいと思います。やはり市民のお祭りというか、お祭りウィークとして、荘内大祭があっておいやさ祭りがあって最後に花火を持ってこれたら非常に流れがいいのかなと思います。
理事長 確かにお客さんも1日で流れずに待っていてくれそうですよね。最後の花火を見て帰るといった感じに。
頭取 お祭りで楽しんでから花火を見て帰る、みたいなね、そういう流れだと。おいやさ祭りは我々も毎回踊り手として参加している訳ですけども、もう少し観光客の方が来てくれると、今よりももっと祭りとして盛り上がると思います。
理事長 なるほど。協議会でもなかなかお互いが忙しくて、核となるところまで踏み込めて会議体をできてないんです。ですので、もう少し早い時期から色々意見交換をすれば、先ほど頭取から仰っていただいた通り、良い内容になるのかなと。せっかくお祭りウィークとしてまとめてますから。

●SDGsへの取り組み●
理事長 荘内銀行もSDGs、持続可能な開発目標に資する取り組みを展開していらっしゃいます。日本青年会議所でも、早い段階から推進しており、行う事業にSDGsのゴール番号を設定して取り組んでいるのですけれども、御社の取り組みも是非参考にさせていただきたいと思いまして。
頭取 17項目に銀行の活動を当て込めて、それを整理しながら、例えば環境・教育等、SDGsの項目を意識した企業活動が一つの目線になってくると思います。色々な面で地域との関わりを大事にする中で、特に今年で創設20周年を迎える「荘内銀行ふるさと創造基金」というのがありますが、毎年地域の色々な活動に対して助成をさせてもらっています。申請の総数は約2,000件、助成先の総数は約800件までのぼるところまできています。
理事長 すごいですね。
頭取 地道ではありますが、色々な文化的な活動だとか、学校の教育的活動だとか、そういった地域に根差した活動に対して助成しています。この基金をSDGsで整理すると色々な項目に該当するかと思います。
理事長 該当しますね。
頭取 あとは、再生可能エネルギーや地球温暖化がテーマになる。風力や太陽光エネルギーへの注目度が高まる中で、我々は金融機関としてそこに金融面でサポートさせてもらうということも、一つの活動につながってくると思います。
理事長 鶴岡青年会議所のSDGsの取り組みは、2020年の大目玉としまして第32回日本海夕陽ラインシンポジウムin鶴岡の開催を通して日沿道の開通促進を図ります。早く繋げて欲しいという運動を青森、秋田、山形、新潟の沿線4県の青年会議所で協議会を発足させて開催しているのですが、それが6年ぶりに鶴岡にて開催される予定です。最近は早く繋げて欲しいという運動だけではなく、繋がった後の街づくりを考えましょうという多角的に視野を広げて運動をしているのですが、それもSDGsの11番「住み続けられるまちづくりを」12番「つくる責任つかう責任」を目標に考えて行きたいと思っていて、その中で必ず必要になるのは17番「パートナーシップで目標を達成しよう」。御社を始め多くの方々と共同して進めていくことで一般市民への浸透も考えていきたいと思っておりますので宜しくお願い致します。
頭取 パートナーシップや共同は確かに重要ですね。米沢も福島と繋がってだいぶ移動が早くなりましたが、道路一本で人の流れが変わってきますし、街づくりというのは、色んな連携が出来ると思うので、道路が繋がる事を前提に繋がる前から先を見越して色々と活動していく事が必要になってくると思いますね。
理事長 南陽青年会議所や高畠青年会議所の話を聞くと道路が繋がったことで、職場である米沢や山形に移動しやすくなり、人口流出というケースもあるようです。
頭取 ストロー現象というか、あまりにも便利になり過ぎているということもある。確かに、逆効果になる懸念も一部あるのかもしれませんね。例えば、米沢の場合、トンネルを1本ぬけると雪のない地域につながるとか。ただ、交流が増えることで米沢の道の駅に福島ナンバーの車が多く来て、色んな物を買ってくれるという、そういう交流は出来てくると思うので、高速道路1つ繋がることで大きい経済効果が期待出来ると思います。知恵の出しどころですが、お互いに行き来してお互いに活性化することが望ましいと思います。
理事長 日沿道では、秋田県境側と新潟県境側の繋がっていない部分が繋がれば、日本海側から関東、関西方面に行くほうが時間短縮できます。太平洋側を移動するよりも青森から大阪までの区間が1時間20分も短縮するというデータもあります。

●女性が活躍できる会社作り●
理事長 女性活躍する社会(ジェンダー平等)についてお伺いします。鶴岡青年会議所ではジェンダー平等への重要性を感じています。全国的に青年会議所では女性会員が少ない中、鶴岡青年会議所には9名の女性会員が在籍しており現役会員(76名)の1割を超えています。女性には、男性にはない女性ならではのすばらしい目線があると感じています。御社でのジェンダー平等に関する取り組みを教えてください。
頭取 当行では女性が活躍できる職場作りを以前から積極的にやっています。現在は管理職への女性登用も珍しくはなく、女性支店長も大勢います。また最近では、法人担当として、融資や様々なご相談にのるなど女性が外に出向く機会を増やし、活躍の場を広げています。女性にはきめ細かさがあるとよく言われます。これはお客様と触れ合う機会の多い我々にとってはとても重要な要素です。
理事長 私も同感です。女性のきめ細かさは男性には表現できない力がありますね。
頭取 当行では今後も、組織としてより女性をサポートできる体制を続けていきます。結婚、出産、介護などに対し全面的にサポートし、できるだけ長く働いてもらいたいと考えています。本店ビルの一階に託児所を設置しているのもそのためです。これからの社会は女性の力を最大限に引き出す組織づくりが重要です。まだまだ日本の社会は、女性より男性が中心です。女性の活躍をどんどん広げていくことをこれからも積極的にやっていきます。女性の社会進出のためのさらなる仕組みづくりというか、社会のインフラづくりが必要になってくると思います。
理事長 素晴らしいですよね、すごいです。頭取 現在は15名利用しています。ここにお子さんを預けて本店や市内の店舗で働くということができます。職場環境の充実化に繋がっています。

●人間力を育成する●
理事長 第四次産業革命に入り、IOTやAIが主流になってきてコンピューターが自動で人間の考えを学び、そしてアドバイスするようになってきました。企業の統計データをみますと、機械が出来ることは充実してきたので人間しか出来ない人間力の育成を考えている企業がたくさんいらっしゃるそうです。人間力を育成させるために御社の方で取り組んでいる開発プログラムのようなものはございますか。
頭取 行内的には、年代や個人のスキルに応じて様々な研修プログラムをきめ細かく実施しています。一番最初に相談していただける銀行になれるよう、お客さまとの対話を重視し手作りでの営業を展開できる人材づくりを目指していますが、まさに人間力が必要な分野です。お客さまのお悩みを親身になってお聞きすること、そして、それに対し適切なソリューションを提案することが求められています。それは、「人」でなければできません。
ほかにも、フィデアグループとして兄弟行の北都銀行と合同で同世代の行員を集めて実施するような研修もあります。互いに良い刺激になっていると思います。
また、行外に向けた取り組みもあります。お取引先企業の後継者や若手経営者等を対象とした「次世代経営塾」というのを主催しています。総合的なマネジメント力の養成だけでなく、集まったメンバー同士のコミュニケーションやネットワークづくりも目的としています。地域の次世代を担う多様な業種の方が集まり、回を重ねるごとに交流を深めていくことで、色んな事が出来るんじゃないか、新しいことが生まれるんじゃないか、という想いも込めています。これから世の中の業務自体がITやAIで変わってくる。事務的なものは機械の方がきちっとやる。最後のところの人間力というか、人間としての判断が大事になる。意見のやり取りってこともあると思いますし、コミュニケーション能力や個々を高める必要がありますね。そういう中で新しい発想も生まれることでしょう。

●荘内銀行本店ホール●
頭取 約400人入るので、そういう規模のイベントがあればぜひ使ってもらいたいですね。ロビーも広めなので、そこで昼にミニコンサートをやったり、絵を展示するとか写真展をやったりとかそういう事にもご利用いただいています。鶴岡の中心地に賑わいができたらいいなと思います。
理事長 ぜひ、ホールの利用推進にご協力したく考えております。本当に今日はありがとうございました。
頭取 ありがとうございました。
●鶴岡青年会議所参加メンバーの感想●
総務広報委員会 委員長 齋藤 高志
地元密着企業の荘内銀行様のSDGsの取り組みと女性が活躍できる環境の構築など貴重なお話を聞くことができ、自分自身も仕事やJC活動に少しでも生かしていきたいと思います。
総務広報委員会 委員 諏訪 志保 SDGsの取り組みはJCとしては推進しているが実際の企業としての取り組みを聞くことで自分の企業に持ち帰り生かすことが出来ると感じた。
